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副業について② ~「時間で雇う」から「成果で雇う」時代へ~
2018年のモデル就業規則の改訂以来、大手企業が続々と副業を解禁していきました。
社会に少しずつですが浸透し始めた副業は新型コロナウイルス流行に伴う経済・雇用不安によって
更に多くの求職者の関心を集めることになるでしょう。
このようなニーズの高まりに合わせて、副業解禁を本格的に考え始めている方も多いかと思われます。
しかし、いざ副業に向き合ってみると色々と気になることも出てきます。
①就業者の健康や労災のリスク
まず、就業者の健康被害や重大な労働災害を引き起こすリスクが生じること。
法定労働時間は【1日8時間・週40時間】となっていますが、
副業により労働時間が膨らめば健康を損なう原因になりかねません。
②情報管理の問題
情報管理の問題もあります。「業務の重要な情報を副業先で漏洩してしまうのではないか」
という危惧から、副業を安易に容認できないという意見もあります。
③本業への真剣味が失われる可能性
従業員のスケジュール管理やキャリア形成を考える上でも、副業を持たれると煩雑になったり、
一貫性を持って履行できなくなるのではないかという声や、副業に気を取られて
愛社精神や本業への真剣みが失われてしまうのではないかと危惧する声も聞こえてきます。
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こうやって見ていくと中々一筋縄にはいきそうにもない副業。
実際に副業を実施している企業の多くは、上記のような問題をクリアするために、
職種の限定やフレックスタイムの導入などルール・環境を整備した上で副業を解禁しています。
副業解禁にあたって多くの企業は職場の環境を見直さなくてはいけません。
場合によっては変化を求められる部分もあるでしょう。
導入にあたってそういった手間がかかる副業。
しかし、その分見逃せないメリットもたくさんあります。
①プラスアルファの収入を得られる
当たり前の話ですが副業によって収入が得られます。
実際、リクルートワークス研究所「全国就業実態パネル調査(JPSED)2019」によると
副業を考える人の6割が生計の維持のためと答えています。
参照:リクルートワークス研究所 <副業を希望する人を対象に行った調査>
収入が物足りない、結婚や子育てなどで支出が増えた、将来を見越して貯蓄を増やしたい、
本業プラスアルファの収入を得るために副業を始める方は今後更に増えていくでしょう。
②リスクを分散できる
また副業を持つことで自前のセーフティネットを用意することが出来ます。
突発的なアクシデントで本業が立ち行かなくなっても生活は続いていきます。
副業を持つことでリスクを分散できるのは先行きが不透明な時代においては大きなメリットです。
③夢と仕事を両立できる
副業は本業では得られないスキルや夢や目標を叶えるための手段にもなります。
収入よりも生きがいのための副業。もし副業で人生を豊かに出来るのであれば、
その人にとっては何よりものメリットと言えるでしょう。
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このように副業は就業者にとって、生活の安定や自己実現に寄与するものとなり、
人によっては人生を拡張するものとなり得ます。
そして、これらは雇用する側のメリットにも繋がります。
①従業員の自立につながる
従業員が副業を持っていれば、勤務サイクルや労働時間、給与などを副業に寄せる形で見直して
従業員と雇用側の双方にとってプラスになる新しい選択肢を提示するなど、
会社が守らなくてはならなかった生活の一部を、従業員本人に任せることが出来るかもしれません。
副業を持つということは、本業以外の収入や生活の糧があるということです。それは従業員の自立に繋がります。
もちろん雇用主がそこに頼りすぎる、あるいは自分勝手に利用するというのは考えものですが、
副業が確立している従業員とならば、お互いの利益を守った上で、雇用に関して取れる選択肢は増えるでしょう。
自立した従業員の存在は短期あるいは長期的な危機に陥った際には特に大きな助けになます。
②従業員のレベルアップが図れる
本業では取得できないスキルや経験を、副業先で獲得してくるケースもあります。
この場合、教育にかかるコストは丸々カット。
従業員教育の観点から考えても副業には大きなメリットがあります。
③従業員のモチベーションアップにつながることも
仕事とは別の夢や目標、仕事では得られない生きがいなどを副業で叶えたい考える従業員に対して、
仕事をしながらチャレンジできる環境を整えてあげることはその従業員のモチベーションアップに繋がります。
④副業先として領域・分野の違うスペシャリストを呼び込めるかも
逆に本業先としてではなく、副業先として従業員を雇用すれば、
専門性の高いスタッフや自分たちとは全く異なる視点や考えを取り入れられるかもしれません。
実際にそのような意図から副業先としてスタッフを募集する大手企業も出始めています。
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このように副業は従業員の可能性だけではなく、雇用主にとっても様々な可能性を広げてくれます。
雇用主は従業員の生活や未来を守っていかなくてはなりません。しかし、今は先行き不透明な時代です。
会社自体の存続が困難な状況下にありながら、従業員の人生に寄り添って生活を保障していくのは簡単ではありません。
また、就業者側に立っても一つの企業だけに生活を頼るのが不安という方は多いはず。
副業は就業者の自立を促します。今はまだ限定的な取り組みの副業ですが、
それがより進んだものになれば、雇用主と就業者の繋がりは従来のものとは違ったものになるはずです。
もっとフラットで、もっとフレキシブルで、もっとフリーに繋がる雇用主と従業者。
そして、そんな新しい繋がり方は、生産性の向上や、個々人の人生の充実など様々なメリットをもたらします。
このように副業が当たり前になった社会は得るものも大きい。
とはいえ、冒頭で述べたように、実現するには従来の勤務システムでは上手く機能しません。
なので新しい働き方を考えていかなくてはなりません。
では、一体誰が新しい働き方を考えるのか?
それは国であり、企業であり、個人です。
実際に独自の就業システムを作って新しい働き方を模索している企業があります。
自分の幸福を最大化できるように真摯に働き方に向き合っている人がいます。
私たちはそんな試行錯誤が実を結び、日本に合った副業の仕方が発明されて、
安定的に幸福を育めるイカした未来が来たらいいなと、個人的に夢見ています。
これからは副業なども時代やニーズの変化に合わせて、できるところから少しずつでも導入してみることも必要かもしれません。
私たちも採用活動を通して、新しいチャレンジを全力でサポートさせていただきます。